引っ越し業者の荷物預かりサービスは、名前の通り、引っ越しの荷物を一時的に預けることができるサービスです。荷物を預ける理由は、個人によって異なります。代表的な例は、以下の通りです。
リフォームや増改築を行う際、一時的に家財道具を搬出する必要に迫られるケースがあります。また、リフォームや増改築中、一時的に仮住まいとなる場合、すべての荷物を仮住まいへ搬入すると、生活スペースが無くなることも少なくありません。そのようなときに、荷物の一時サービスを利用すると便利です。
退去する際は、翌月の家賃が発生しないタイミングで退去したいものです。とはいえ、賃貸の契約状況によっては、新居の鍵の引き渡しが、旧居の退去日以降となることがあります。
そのようなときに、荷物の預かりサービスを利用すると、新居への荷物の搬入が可能となる日まで、預かってもらうことができるのです。
新居の部屋が旧居よりも狭い場合、すべての荷物を搬入してしまうと、部屋がなかなか片付かないものです。しかし、荷物預かりサービスを活用すると、一部の荷物だけ先に運び込み、部屋が片付いてから残りの荷物を搬入することができます。
引っ越し業者の荷物一時預かりサービスは、全ての引っ越し業者が対応しているわけではありません。そのため、見積もり時に、荷物を一時的に預けることはできないか、必ず確認しておきたいものです。
その上で、複数の引っ越し業者へ見積もりを依頼し、トータル費用を比較しながら割引交渉することをお勧めします。通常、荷物預かりサービス料は、引っ越し料金とは別に掛かりますが、必ずしも引っ越し費用が高くなるわけではありません。
なぜなら、荷物預かりサービス料とは別の部分で、割引きが可能となることもあるからです。また、数日程度の利用や、荷物量が少ないケースに限り、無料で預かって貰えるケースも少なくありません。見積もり時の交渉は、必ず行うことをお勧めします。
引っ越し業者の荷物一時預かりサービスでは、どのような荷物を預けることができるのでしょうか。結論から言いますと、一般的な引っ越しの荷物であれば、大抵のものは預けることが可能です。
ただし、一部の荷物は事前に断られる可能性があるため、事前確認が必要です。たとえば、湿気に弱い美術品、危険物、腐敗するもの、現金や宝石や有価証券などの貴重品等が該当します。
また、各引っ越し業者ごとで、荷物を保管する保管場所の環境は異なるものです。コンテナの場合もありますし、設備が整ったトランクルームで保管する場合もあります。
大切な荷物を預けることになるため、保管場所の環境についても必ず確認しておきたいものです。
引っ越し業者ごとで、荷物の保管期間・料金などは異なります。どの引っ越し業者も共通していえることは、長期間の保管はできないということです。
また、サカイ引越センターのように、新築や増築に伴う荷物の預かりしか行っていないケースもあるため、詳細について見積もり時に確認しておくことが重要となります。
平均的な荷物の保管期間ですが、数日程度から1ヶ月ないし2ヵ月程度が目安です。ヤマト運輸のように、短期間の荷物預かりと長期間の荷物預かりにサービス形態が分かれている業者も存在します。
また、長期間とはいっても、せいぜい5ヶ月間が限度であり、それ以上の保管は別途相談しなければなりません。
また、各引っ越し業者が、必ずしも独自の保管庫で保管してくれるとは限りらないものです。アリさんマークの引っ越し社のように、提携会社を紹介されるケースもあります。
更にいうと、荷物の保管場所の環境は、コンテナであったりトランクルームであったりと様々です。
トランクルームであれば、空調や湿度管理、セキュリティー設備が整っており、引っ越しの荷物が痛む心配はほとんどありません。問題はコンテナです。
気温や湿度の影響を受けやすく、荷物が痛む可能性があります。ほんの数日程度であれば心配はありませんが、数週間や数ヶ月に亘って荷物を保管する場合は、どのような形で荷物を保管するのか事前確認が必要です。
次に料金に関してですが、荷物の一時預かりサービスは、オプションサービスの中の1つとなっています。そのため、通常の引越し料金とは別に費用がかかるものです。
アート引越センターのように、短期間の荷物保管や、荷物の量が少ない場合に限り、料金が無料となるケースもあります。
ちなみに、荷物の一時預かりサービス料金は、公式ホームページに記載されていないことが大半であるため、見積もり時に確認するしかありません。
ホームページ上に料金の記載がある、カルガモ引越しセンターを例に挙げると、1ヶ月以内の保管料は無料である他、6つのサイズのコンテナごとと、保管期間によって料金が異なります。
たとえば、0.95m x 1.49m x 1.65mサイズのコンテナ利用時は、月額使用料6,851円、1日レンタル料221円。2.05m x 1.93m x 1.93mサイズのコンテナ利用時は、月額使用料22,785円、1日レンタル料735円です。
引越し業者が荷物を預かるのではなく、提携先のトランクルーム業者などへ荷物を預ける場合は、紹介料と一時保管料が発生することも考えられます。
アリさんマークの引越しセンターのように、一時保管料のみ発生するケースもありますが、詳細については別途確認しておきたいものです。
尚、保管中の荷物は、自由に出し入れすることができません。もしくは、出し入れすることは可能なものの、その都度料金が発生することがほとんどです。そのため、出し入れする可能性がある荷物は、そもそも預けないことをお勧めします。
多くの引越し業者では、荷物の一時預かりサービスを提供しています。大手6社の荷物預かりサービスについて以下の図にまとめましたので、是非参考にしてください。
尚、正確な料金に関しては、どの引っ越し業者もホームページなどで公開していません。
料金を確認したい場合は、必ず問い合わせることをお勧めします。あくまでも一般的な相場とはなりますが、1ヶ月あたり1畳サイズで10,000円から15,000円前後となるようです。
ヤマト運輸 | アート引越センター | アーク引越しセンター | |
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サービス名 | 建替引越パック | トランクルームサービス | 建て替えプラン |
保管期間 | 5ヶ月以内 ※延長は別途相談 |
公式ホームページ上には記載なし 要問合せ |
公式ホームページ上には記載なし 要問合せ |
料金 | 旧居の総家財量と旧居から仮住まいでの輸送距離で決まる | 保管期間に応じた保管量、入庫・出庫時の運搬作業費で決まる (別途オプション利用時はその料金も掛る) |
公式ホームページ上には記載なし 要問合せ |
サービス内容 | ・荷物量制限なし ・資材引き取り可能 ・家具配置換え依頼可能 ※入居3ヶ月以内 ・5ヶ月以内であれば追加料金なし ・荷造り・荷解きはオプション利用 ・仮住まい中の荷物出し入れは有料 ・新居で不要となった家具引き取り可能 ・指定のハウスメーカー建替・購入につき引越基本料金割引あり |
・預かり日数が短い場合無料 ・荷物量が少ない場合無料 ・転居先へ輸送可能 ・荷物のタイプ別に保管 ・一部地域、申込時期によっては利用不可 その他、サービス内容を確認したい場合は、要問い合わせ |
・現住居から仮住まい、仮住まいから新居までの2回分の引越しに対応 ・仮住まいに入らない荷物は保管倉庫利用オプションサービス併用可能 ・ダンボール50枚無料 ・ふとん袋最大2枚無料 ・ハンガーボックス最大5個無料レンタル ・特別割引あり ・ダンボール無料回収あり ※建て替えプランとは別に、オプションサービスとしてトランクルームへ荷物を預けることも可能。 保管費用は別途請求 |
保管できないもの | ・毛皮製品 ・美術品・工芸品 ・ピアノ・オルガン ・自転車・オートバイ ・現金・有価証券・貴金属 ・発煙・引火性のある危険物 |
公式ホームページ上には記載なし 要問合せ |
公式ホームページ上には記載なし 要問合せ |
アリさんマークの引越社 | 日本通運 | サカイ引越センター | |
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サービス名 | 建替え時の荷物一時保管 | お荷物の一時保管 | 荷物の一時預かり・保管 |
保管期間 | 公式ホームページ上には記載なし 要問合せ |
1ヶ月未満から数ヵ月間 ※保管期間は要相談 |
公式ホームページ上には記載なし 要問合せ |
料金 | 公式ホームページ上には記載なし 要問合せ |
公式ホームページ上には記載なし 要問合せ |
お荷物の量や期間によって異なる 特殊な荷物は別途料金発生 |
サービス内容 | ・提携業者を紹介 ・一時保管料は有料 ・提携業者紹介料は無料 その他、詳細に関しては要問合せ |
・指定日に配送可能 ・荷物の出し入れ時は要連絡 ・一部地域、申込時期によっては利用不可 ・荷物出し入れの都度、配送・出入庫料発生 ・1ヶ月未満は、輸送モード調整による荷物保管の可能性あり ・長期間の家財保管は、梱包後にトランクルームへ保管 (国土交通省認定トランクルーム使用) |
・訪問での見積もり ・一時保管契約書等が必須 ・保管中の荷物の出庫は不可 ・新築、増築(リフォーム)に伴う引越しに限り利用可能 その他、詳細に関しては要問合せ |
保管できないもの | 公式ホームページ上には記載なし 要問合せ |
公式ホームページ上には記載なし 要問合せ |
公式ホームページ上には記載なし 要問合せ |
一時的に引越しの荷物を預けたいときは、引越し業者へ預けるか、トランクルーム専用業者と契約して預けることになります。
似たようなサービスで、レンタル収納スペースというサービスもありますが、厳密にいうとトランクルームサービスと内容は異なるものです。
トランクルームサービスは、引越しの荷物をはじめとした物品を預かることがメインですが、レンタル収納スペースサービスは、保管場所を提供するのみとなります。また、荷物の保管状態は自己責任の下で行うのが一般的です。
現実問題として、引越しの家財道具をすべて自己管理することは困難ですので、荷物を厳重に管理してくれるトランクルームサービスの方が、荷物の預け先として適しています。
ところで、引越し業者に荷物の保管を依頼するのと、トランクルームサービスを利用するのとでは、どちらかお得になるのでしょうか。一概に言い切ることはできませんが、引越し業者へ依頼した方が安く済む可能性が高いといえそうです。
なぜなら、トランクルーム専用業者を利用する場合、保管料以外にも費用が発生するからです。たとえば、事務手数料、運搬費用、会員登録料などがあります。
また、トランクルーム専用業者が、必ずしも荷物の運搬や搬入搬出まで行ってくれるとは限りません。尚且つ、料金面でいうと、都心部に近いほど料金相場が高くなる傾向にあります。
一方、引っ越し業者の荷物預かりの場合、住居から保管先までの運搬や荷物の搬入搬出は、すべて依頼可能です。
加えて、引っ越し費用を割引して貰えるケースもあることから、荷物預かり費用が発生したとしても、トータル費用が安く済むことは十分あり得ます。
アート引越センターやエース引越しセンターのように、少量の荷物やごく短期間の預かりは無料となるケースもあるため、引っ越しによる荷物預かり費用は、引っ越し業者の方がお得になる可能性が高いといえそうです。
ただし、どの引越し業者も、短期間の保管しか行っていないことが多く、利用条件が設けられていることもあります。長期間に亘って荷物を保管したいときは、トランクルーム業者を利用するしかありません。
それでは最後に、トランクルームサービス業者として有名な、「キュラーズ」、「ハローストレージ」の相場価格と、サービスの特徴をまとめた表をご紹介します。利用を検討している方は、是非参考にしてください。
サービス名称 | キャラーズ | ハローストレージ |
---|---|---|
相場価格 | ※キュラーズ高井戸店の場合 (店舗によって価格は異なる) ■大型ロッカータイプ ※通常月額料金(税抜) Box-2:5,000円 Box-3:6,800円 ■クローゼットタイプ ※通常月額料金(税抜) 0.4畳:8,900円 1畳:17,000円 2畳:28,700円 5畳:63,400円 8畳:89,700円 10畳:104,100円 上記の他にも多数プランあり ・初期費用は、初月日割り分と翌月分、セキュリティーカード代金が必要 |
※ハローストレージ水道橋 パート1の場合(店舗によって価格は異なる) ■屋内型トランクルーム 0.5帖:8,700円から 1帖:12,900円から 2帖:23,600円から 3帖:40,500円から 店舗ごとで、屋内型か屋外型かに分かれる 使用料:当月分日割、翌月分 管理費:当月と翌月分 事務手数料:使用料1ヶ月分 鍵代:屋外型は3,780円 屋内型:2,400円 ※発生しない物件もあり セキュリティ登録料:屋内型のみ1,080円 ※クレジットカード決済は、保証金不要。 コンビニ決済、振込は1ヶ月分必須 |
サービス特徴 | ・管理費、事務手数料不要 ・空調管理付き ・カビ対策あり ・24時間出し入れ可能 ・スタッフ常駐のため安心 ・即日契約可能 ・オリコン顧客満足度ランキング7年連続1位 ・火災保険、盗難保険加入済み ・コールセンター常設 ・WEB見学可能 ・ビルはほぼ自社所有で運営 ・全国主要都市にて展開 |
・WEB、電話から申込可能 ・24時間利用可能(一部店舗で制限あり) ・屋内型はセコム、ALSOKの2重ロック採用 ・屋外型はコンテナ前まで車乗り入れ可能 ・全国主要都市にて展開 ・常駐の管理人なし ・屋内湿度対策:外気との差はほぼなし ※一部店舗は空調あり ・屋外湿度対策:外気温+3℃前後 ・見学可能 ・補償:屋内100万円/1事故、1室あたり屋外50万円/1事故、1室あたり ・補償事故内容:火災、爆発、破裂、盗難(盗難は警察への被害届提出必須) ※補償対象外は保険適応なし ・保険期間:契約終了もしくは契約解除日まで |
引っ越しの荷物預かりを利用した場合の相場や概要、トランクルームサービスの概要について、詳しく解説してきました。最低限これだけの情報を抑えておけば、安心して荷物を預けることができるはずです。
荷物預かりサービスは、大変便利なサービスではありますが、一部注意しておきたいことがあります。以下で、荷物預かりサービス利用時の注意点について3つ取り上げますので、参考にしてください。
利用条件は、細かなところまで確認する必要があります。たとえば、荷物の出し入れに関しては、預け先によって24時間可能なケースもありますし、時間制限が設けられているケースもあります。
また、荷物の出し入れが、一切できない預け先もあるものです。それだけではなく、荷物の出し入れの度に、都度費用が発生することも珍しくありません。おまけに、預けることが出来ない荷物も、預け先によって様々です。
事前に確認をしておかないと、自宅から荷物を搬出することができず困り果てることになります。後々失敗しないためにも、利用条件は納得がいくまで確認したいものです。
一時的に預けるとはいえ、引越しの荷物はどれも大切なものばかりです。そのため、補償内容はしっかりと確認しておくことをお勧めします。特にセキュリティーに関しては、チェックを怠らないようにしたいものです。
たとえば、24時間スタッフが常駐しているのかという点や、監視システムが24時間作動しているのかという点は、安心して預ける上で確認が必要となります。
尚、補償内容が適当な業者は、保管中の荷物の管理や扱いもいい加減なことがあるものです。不明点や心配なことは、見積もりの段階ですべて相談しておくことが得策となります。
引っ越しの荷物預かり期間がほんの数日だけであっても、湿度や室温などの保管環境だけは、最低限把握しておきたいものです。
特に夏の暑い時期、屋外型コンテナで荷物を保管する場合は、荷物が痛んでしまう可能性があります。荷物の預け先ごとで、保管環境は異なりますので、必ず荷物の保管環境は把握しておきたいものです。