国内の引越しとは異なり、海外への引っ越しは比較的高額な費用となります。また、引越し業者によって料金に差があるため、事前に相場料金を把握しておくことが重要です。
今回は、海外引越しの料金相場や内訳、海外引越しに対応している引越し業者の紹介、引越し業者の選び方について詳しく見ていくことにしましょう。
海外引越しの料金は、『船便』と『航空便』で異なります。また、引越し業者ごとでも料金は大きく異なるため、一概に言い切ることはできないのです。ただし、基本的な料金の計算方法に違いはありません。
料金相場について触れる前に、まずは海外引越しの料金計算方法、内訳について解説していくことにしましょう。
料金の計算式は以下の通りです。
日本側輸出料金 + 海上運賃 + 外国側輸入料金と関税 = 引越し料金
※保険料やオプションサービス料は別途発生
基本的には、上記の3つの項目で引越し料金は決まると考えていて間違いありません。更に内訳を見ていくことにします。
海外へ引越しをする場合、国内の引越しよりも厳重に家財道具を梱包します。そのため、内装梱包料として費用が掛るのです。
旧居から空港・港までの引っ越し作業料金や輸送運賃が発生します。
衝撃から荷物を守るため、内装梱包した荷物をひとまとめにして木箱などで覆い、更に厳重に梱包します。その際にかかる費用のことを『輸出梱包料』と呼んでいるのです。別名、外装梱包(ケース梱包)とも呼ばれています。
通常、外装梱包(ケース梱包)の料金は、内装梱包料金の2~3割増し程度の費用が掛るようです。
荷物の申告や検査、手続きなどの代行費用が掛ります。個人でも手続きは可能ですが、非常に手間がかかるため代行でお任せした方が楽です。
『船便』の際に必要となる費用です。海上コンテナに荷物を詰めて、船に積み込む際に必要となる料金のことを指しています。
※航空便の場合、荷物量によりますが、基本的には船便のようにコンテナへ積める作業はありません。そのため、『船積諸掛料』のような費用は、発生しないと考えておいて問題ないといえます。
海上運賃とは、『船便』の場合は船便料金。『航空便』の場合は、航空便の料金のことです。『船便』は1立方メートルあたりの計算方法を取っていますが、『航空便』は実重量、もしくは荷物の体積重量のどちらか大きい方で計算しています。
ちなみに、重量が重たい家財道具は『船便』の方がお得ですが、軽量の家財道具は『航空便』の方がお得になりやすい傾向にあるようです。
『船便』にて発生する料金です。船から海上コンテナを保税上屋(ほぜいうわや)へ入れるための料金となっています。保税上屋(ほぜいうわや)とは、輸送中の貨物を一時的に保管する仮置き場のことです。
保税上屋(ほぜいうわや)で家財道具を保管しているときに発生する料金です。保管料に関しても、『船便』利用時の場合のみ発生します。
海外管轄の税関が、日本から持ち込んだ家財道具を検査する際に掛る費用です。
渡航先によっては、輸入の禁止・規制されている品物や、日本から持ち出すことが禁止されている品物が存在します。
そのため、持ち込んだ家財道具の中に、それらの品物が含まれていないか必ず検査を行うのです。つまり、検査を行う際に掛る費用が、税関検査料です。
港もしくは空港から新居までは、トラックで運送します。その際に発生する費用です。
一般的な引越しの荷物であれば、関税は掛らないことになっています。ただし、各国によって規則が異なるため、課税対象となる荷物の種類は様々です。また、例外として、以下の項目に1つでも当てはまる場合は、課税対象となります。
たとえば、ベトナムやフィリピンの場合、家電製品などに関税が掛ります。そのため、発展途上国へ引越しをする際は、細かなところまで確認した方が安心です。
新品の荷物は輸入扱いとなるため、関税が発生します。こちらも各国によって対応が異なりますが、未開封の荷物だけではなく、購入して1年が経過していない荷物も新品とみなされることがあるようです。
長期滞在ビザがない場合、関税が掛ります。ただしEU諸国では、ビザがなくても関税の有無に影響を与えることは無いようです。とはいえ、ビザは提出しておくに越したことはありません。
荷物の送り主と受取人が同一人物の場合のみ、関税が免除される仕組みとなっています。そのため、送り主もしくは受取人のどちらかが代理人となった場合、関税がかかってしまうのです。
尚、上記以外にも重要な要素として、『消費税』、『外国為替』があります。まず、『消費税』ですが、海外へ輸送する家財道具は、すべて『輸出商品』扱いです。そのため、日本の消費税はかかりません。
また、『外国為替』についてはいうまでもありませんが、『円高』となれば引越し料金は安くなりますし、『円安』となれば引越し料金は高くなります。
海外引越しの料金計算方法と内訳が分かったところで、次に海外引越し費用の相場について見ていくことにします。冒頭でもお伝えしたとおり、各引越業者で料金が異なることから、海外引越しの料金相場はあってないようなものです。
そのため、今回は『ヤマトロジスティクス』、『日本通運』、『ジャパンムーブ』をピックアップし、『ニューヨーク』、『イギリス』、『香港』へ引越しをする場合、どの程度の料金となるのか、表にまとめてみました。参考にしてください。
尚、3つの引越し業者では、複数の引越しプランを提供しています。今回ピックアップした引越しプランは、ランダムに選択したものです。引越しプランによって料金やサービス内容は異なるため、必ず事前に問い合わせをして確認してください。
ヤマトロジスティクス | 日本通運 | ジャパンムーブ | |
---|---|---|---|
サービス名称 | 海外引越し単身プラン エクストラコース |
海外単身パックLサイズ | スタンダードパック ドアツードア ※ジャパンムーブではスタンダードな引越しプラン |
料金 | 140,000円(税抜) | 199,000円(税抜) | 361,750円(税抜) |
荷物量 | ダンボール大10箱 縦33×奥行46×横66cm ダンボール小8箱 縦33×奥行33×横46cm ダンボール1箱25kgまで |
専用コンテナ内寸 横108×奥行104×高さ174cm 日通Mサイズダンボール20個 (横52×奥行34×高さ34cm) ダンボールM1箱15kgまで ダンボールS1箱20kgまで |
5m3 最大重量設定なし ※120サイズダンボール100個 |
所要日数 | 約50~60日 | 約44~55日 | 約1.5~2ヶ月ほど |
ヤマトロジスティクス | 日本通運 | ジャパンムーブ | |
---|---|---|---|
サービス名称 | 海外引越し単身プラン エクストラコース |
海外単身パックLサイズ | スタンダードパック ドアツードア ※ジャパンムーブではスタンダードな引越しプラン |
料金 | 140,000円(税抜) | 195,000円(税抜) | 361,750円(税抜) |
荷物量 | ダンボール大10箱 縦33×奥行46×横66cm ダンボール小8箱 縦33×奥行33×横46cm ダンボール1箱25kgまで |
専用コンテナ内寸 横108×奥行104×高さ174cm 日通Mサイズダンボール20個 (横52×奥行34×高さ34cm) ダンボールM1箱15kgまで ダンボールS1箱20kgまで |
5m3 最大重量設定なし ※120サイズダンボール100個 |
所要日数 | 約55~60日 | 約50日~60日 | 約1.5~2ヶ月ほど ※詳細は要問合せ |
備考 | 配達前打ち合わせは日本語サポート有。 配達時立ち合いなし |
現地での日本人対応なし |
ヤマトロジスティクス | 日本通運 | ジャパンムーブ | |
---|---|---|---|
サービス名称 | 海外引越し単身プラン エクストラコース |
海外単身パックLサイズ | スタンダードパック ドアツードア ※ジャパンムーブではスタンダードな引越しプラン |
料金 | 120,000円(税抜) | 149,000円(税抜) | 256,750円(税抜) |
荷物量 | ダンボール大10箱 縦33×奥行46×横66cm ダンボール小8箱 縦33×奥行33×横46cm ダンボール1箱25kgまで |
専用コンテナ内寸 横108×奥行104×高さ174cm 日通Mサイズダンボール20個 (横52×奥行34×高さ34cm) ダンボールM1箱15kgまで ダンボールS1箱20kgまで |
5m3 最大重量設定なし ※120サイズダンボール100個 |
所要日数 | 約20~25日 | 約15日~24日 | 約1.5~2ヶ月ほど ※詳細は要問合せ |
備考 | 配達前打ち合わせは日本語サポート有。 配達時立ち合いなし |
現地での日本人対応なし |
ちなみに、航空便の場合、重量が重たくなると費用が高くなるため、大量の家財道具を輸送する際は不向きです。また、各引越し業者のホームページ上では、航空便の海外引越し料金について詳しく案内していませんでした。
1例としてご紹介しておきますが、ヤマトロジスティクスが提供している『留学宅急便』のページ内で、いくつかの国へ荷物を航空便にて送った際の料金が案内されていました。参考までに、以下でご紹介しておきます。
120サイズ:28,000円 140サイズ:31,000円 160サイズ:34,000円
※すべて税抜き / 荷物サイズは宅急便仕様
120サイズ:28,000円 140サイズ:31,000円 160サイズ:34,000円
※すべて税抜き / 荷物サイズは宅急便仕様
120サイズ:23,000円 140サイズ:25,500円 160サイズ:28,000円
※すべて税抜き / 荷物サイズは宅急便仕様
依頼する引越し業者によっては、海外引越しの費用の中に保険料が含まれていないことがあります。この点が、日本国内の引越しとは大きく異なる点なのです。
最低限の保険に加入しているケースもありますが、基本的には自ら加入しなければなりません。
ほとんどの場合、引越し業者の方で保険会社を紹介していますので、見積もり時に必ず確認してください。そして、事前に保険へ加入しておきましょう。
海外引越しの費用についておおよそ理解できたところで、次に海外引越しに対応している引越し業者についてみていくことにしましょう。
今回は5社をピックアップし、以下の図にまとめました。参考にしてください。
業者名 | 特徴 |
---|---|
ヤマトロジスティクス | ニーズに合わせた豊富なプランが魅力です。 世界50拠点以上展開しているため、ネットワーク網がとても広く、他社では契約を断られた地域でも、引越しを依頼することが可能です。 また、サポートが充実しているため、初めての方にピッタリな業者だといえます。 |
ジャパンムーブ | ジャパンムーブは、海外引越しサービスを提供している業者の中でも、知る人ぞ知る引越し業者です。 ハトのマークの引越専門協同組合加盟店であり、サービス品質には定評があります。 『節約プラン』、『標準プラン』、『楽々プラン』に分かれており、個人だけではなく企業向けの引越しも扱っています。 |
日通 | 単身、家族、留学など、あらゆる海外引越しに対応しています。 コンテナBOXを使用した『海外単身パック』は、対象地域が限定されているものの、安価なパック料金となっているため大変お得です。 |
サカイ引越センター | 状況に合わせた引越しプランの選択が可能です。 通関手続きはもちろんのこと、目的に合わせた海外引越しをサポートして貰うことができます。 世界の広範囲に亘ってネットワークがあるため、利用しやすい引越し業者です。 |
クラウンライン | 1980年にシンガポールで設立されてから、海外引越し業者として常に活躍を見せてきた引越し業者です。 引越し業者としては珍しく、海外進出サポート事業、メディア事業、プロモーション事業など、多方面に亘る活躍を見せています。 |
海外引越しを格安で済ませたいのは、誰しも同じ気持ちです。しかし、価格の安さだけで選んでしまうと、後に思わぬトラブルに巻き込まれる可能性があります。
この項では、引越し業者選びの際に、抑えておきたい3つのポイントについてご紹介していきます。
海外引越の費用の安さ以上に重要といっても過言ではないのが、諸手続きの代行です。たとえば、税関での手続き、出入国の手続き等、海外へ引越しをする際は複数の書類を用意しなければなりません。
個人で手続きをすることも可能ではありますが、代行サービスにお任せした方が間違いないものです。そのため、必ず諸手続きの代行を行っているのかを確認してください。
現地にて、日本人によるサポートを受けることができるのかどうかも、事前にしっかりと確認しておきたいものです。費用が安価な引越しプランの場合、現地サポートは付いていません。
そのため、現地法人の有無、サポートの範囲、サポートの内容等、見積もりの段階でしっかりと確認しておきたいものです。
各引越し業者では、海外引越しならではのオプションサービスを提供しています。たとえば、現地での生活をサポートするサービスや、帰国後のサポート、荷物の一時預かりなど様々です。
痒いところに手が届く、質の高いオプションサービスを提供している業者を選択した方が、海外引越しで失敗することがありません。複数の業者を比較検討した上で、慎重に選びたいものです。