引っ越し費用を抑えたいなら、オフシーズンに引っ越しをするのが一番お得です。一般的に、引っ越しのオフシーズンというと、繁忙期である3月や4月以外の月を指していることが多いのですが、中でも9月、10月、11月は特に引っ越し費用が安い時期として人気があります。しかし、ちょっと待ってください。この情報は確かに正しいのですが、鵜呑みにするのは危険です。下図をご覧ください。
繁忙期である3月や4月と比較すると、確かに9月、10月、11月は引っ越し費用が安くなっていますね。しかし、9月と10月に関して言えば、特別安いというわけではありません。それもそのはず。9月の下旬あたりに多くの企業では事業の見直しが行われ、9月後半から10月にかけて転勤によるファミリー層の引っ越しが増えるのです。
繁忙期である3月や4月と比較すると、引っ越し業者はそこまで忙しくはありませんが、引っ越し費用を抑えて安く済ませたいなら、11月の引っ越しが最も狙い目だといえるでしょう。また、ちょっとした裏話となりますが、9月や10月はベテランの作業員が出払っていることがほどんどです。
11月と比較すると、9月や10月は現場の数が多いため、ベテラン作業員は各現場の責任者として1名もしくは2名といった具合に振り分けられます。それが11月になると、閑散期に突入して9月や10月よりも引っ越し依頼数が減少することから、複数名のベテラン作業員が1つの現場に派遣される機会がおのずと増えるのです。繁忙期では考えられないことですよね。引っ越し作業が短時間でスムーズに終わるだけではなく、安心してお任せできるので、そういった意味でも11月の引っ越しはお勧めです。
繁忙期と閑散期の引っ越し料金は、驚くほど違うものです。これは、業者ごとでも違いますが、同じ引っ越し業者であっても時期によって料金に大きな差があります。
下図で、大手引越業者6社の繁忙期と閑散期の平均相場を表してみました。赤文字が繁忙期の平均料金、その下は閑散期の平均料金です。記載されている引っ越し料金は、あくまでも一例ですのでこの通りではありません。しかし、同じ引っ越し業者であっても、引っ越し料金が繁忙期と閑散期とでは異なることが分かります。
引越し業者 | 単身 | 2人家族 | 3人~4人家族 |
---|---|---|---|
ヤマト運輸 |
5万円 4.7万円 |
11.3万円 8万円 |
15万円 12万円 |
アート引越センター |
7万円 6万円 |
11.6万円 8万円 |
16.5万円 12万円 |
アーク引越センター |
5.5万円 4.5万円 |
7.5万円 5.5万円 |
13万円 9万円 |
アリさんマークの引越社 |
6.5万円 4.5万円 |
9万円 8万円 |
14万円 10万円 |
サカイ引越センター |
6万円 4.5万円 |
10万円 8.5万円 |
12.5万円 10.5万円 |
日 通 |
8万円 4.5万円 |
12万円 7万円 |
16万円 9万円 |
また、引っ越し料金は『運賃』、『作業員の人件費』、『梱包するのに必要となる費用』、『保険料』、『オプションサービス費用』で構成されています。そのため、引っ越し業者選びや移動距離は勿論のこと、どの程度のサービスを利用したいのかによっても料金は異なるのです。
9月・10月・11月に引っ越しをすることが決まっている場合、各月ごとで注意しなければならないポイントがあります。それぞれの月を取り上げながら、詳しくご紹介していくことにしましょう。
上記で解説したとおり、9月は全体的に引っ越し料金が高くなっています。中でも一番高いのは、9月最終週の土、日の午前中です。できるだけ、最終週の午前中に引っ越しをすることは避けた方が良いでしょう。
また、引っ越しの予約は、2週間前の連絡であっても予約で埋まっている可能性が高くなります。そうなると、割引率も低くなるため、予め9月の引っ越しが決まっているならば、1ヶ月くらい前には予約をしておきましょう。
企業によっては、10月に秋休みが設けられていることがあります。そのため、10月中旬の週末くらいまでは、引っ越し費用が割高になることがあるのです。この秋休みのピーク時になると、繁忙期の引っ越し費用と同じくらいになりますので、必ず3社から4社程度から見積もりを取って、安い業者を探しましょう。
ちなみに、10月の最終週辺りになると、引っ越し料金はやや下がり始めます。特に平日の夕方以降はそれほど高くはありません。引っ越しのスケジュールに余裕があるときは、第3希望日くらいまで業者に伝えて、一番安いタイミングで予約しましょう。
11月になると、完全に閑散期に突入します。しかし、11月は祝日があるため、土、日と祝日の前日は避けた方が良いでしょう。ちなみに、祝日の引っ越しも避けた方が良いという意見がありますが、実際にはそこまで混み合うことはありません。どちらかというと、祝日の前日の方が混み合います。
見積もりを出してもらう際、祝日の前日と祝日の当日で料金に違いがあるか、事前確認しておきましょう。祝日の夕方以降であれば、引っ越し費用を格安にしてもらえることがあります。
閑散期に引っ越しをすると、安くなることは間違いありません。しかし、それは『繁忙期と比較すると』という条件が付いた場合のお話です。実は、閑散期であっても、引っ越し費用が割高になることがあります。どうして、閑散期なのに料金が高くなるのでしょうか。理由は3つあります。
不動産の賃貸契約は、だいたい月末までの契約となっています。そのため、閑散期であっても毎月下旬は引っ越しをする人が多いのです。特に土日は、すぐに予約で埋まることがほとんど。これは閑散期も繁忙期も同じですので、引っ越し費用を安く済ませたいなら、月末の土日は避けた方が良いでしょう。
引っ越し費用は、荷物全体の量や作業にかかる時間、手間などによっても変わってきます。この辺りのことは、荷造りの段階で調整することができますが、引っ越し先までの移動距離だけはどうすることもできません。引っ越し先までの距離が非常に離れているときは、トラックではなくコンテナに荷物を積んで運ぶことになりますし、コンテナの大きさによって料金は大きく変わってきます。
そのため、どの引っ越し業者へ依頼しても、閑散期なのにそれほど安くならなかったということが起こりがちなのです。また、引っ越し先の地域や、引っ越し先の建物の立地状況などによっても、あまり割引をしてもらえないことがあります。
これは閑散期だけに限らず、繁忙期でも同じことがいえますが、午前中の中でも朝一番早い時間帯の引っ越しは人気があります。どんな人も考えていることは同じで、朝早くに荷物を搬出して、午後からゆっくりと新居で片づけをしたいため、予約が集中するのです。
ですから、時間に余裕がある場合は、早くても10時頃から17時頃の間で予約するようにしましょう。18時台になると、また少し混み合うことがありますが、その後19時以降から依頼件数が減少するため、夜の時間帯の引っ越しでも差し支えないのであれば、夜の時間を指定するのも1つの方法です。
ただし、引っ越し業者のスケジュールによっては、前の引っ越しの作業が難航して、予約時間より遅れて到着することがあります。21時頃から、作業が始まったという話も珍しくないのです。また、夜の時間帯だからといって、割引にはならないこともあるため、事前に確認しておきましょう。
先程も触れたとおり、引っ越しの時間帯によって予約の混雑状況は大きく変わります。それに伴って、引っ越し料金にも差が出てきますので、引っ越しの時間帯は慎重に決めましょう。下図は、大手引越業者の引っ越し依頼状況を、時間帯別で表したものです。
ご覧の通り、圧倒的に午前中に引っ越し依頼が集中しています。ということは、午後か夕方の時間帯の方が、予約しやすいことが分かりますね。また、引っ越し業者は、混雑している月、曜日、時間帯の割引は積極的に行わない傾向にあります。そういった裏事情からも、時間帯を敢えて指定しないか、午後もしくは夕方の時間帯を指定した方が、引っ越し費用を抑えることができるのです。