多くの引越し業者では、単身者専用の引越しサービスを提供しています。『単身パック』、『単身プラン』といった名称で提供されていることがほとんどですが、それぞれのサービスにはどのような違いがあるのでしょうか。
今回は、『単身パック』と『単身プラン』を提供している引越し業者、メリット・デメリット、引越し費用を抑えるコツ、自分で引越しをした場合安く済むのかについて、詳しくご紹介していきます。
そもそも、『単身者パック』と『単身者プラン』にはどのような違いがあるのでしょうか。今回は、3つの違いをご紹介していきます。その前に、『単身者パック』と『単身者プラン』の概要について解説していくことにしましょう。
単身パックとは、『各業者既定のコンテナBOX内に家財道具を積み込んで、新居まで輸送する引越し専用サービス』のことを指しています。
日通の『単身パックS・L』や、ヤマトコンビニエンスの『単身引越しサービス、単身引越しサービスmini』が最も有名です。
元々、荷物量が少ない単身者向けに作られたプランで、混載便として輸送されることから、格安引っ越しが実現できます。
ただし、一通り家電製品を持っている方、サイズが大きい家財道具を持っている方、コンテナBOXに収まらない荷物量の方には不向きです。
単身プランは、ごく一般的な引越しサービスと捉えて問題ありません。家財道具のサイズや量に合わせて、軽トラック、1.5tトラック、2tトラックなどの車輌を手配し、新居まで運搬します。
単身パックのように、家財道具のサイズ・量に制限が設けられていることはありません。『自由度の高い単身引越しサービス』と言い換えることもできます。
つまり、『単身パック』のコンテナBOXに荷物が収まらない方は、すべて単身プランを利用することになるのです。
『単身者パック』と『単身者プラン』の概要が分かったところで、それぞれの違いについて3つ解説していくことにしましょう。
単身の引越しパックでは、荷物量や荷物のサイズに制限があります。運搬する際、専用のBOXに収める必要があるため、BOXに収まらない荷物は運搬できないのです。
その点、単身プランでは、単身引越パックのような制限は設けられていません。つまり、引越しで単身パックを利用することができる人は、荷物量が少なくコンテナBOXに収まるサイズの家財道具を持つ単身者ということになります。
単身の引越しパックの場合、サービス提供地域が限定されているケースがあります。そのため、事前にサービス提供地域について調べておく必要があるのです。
一方、単身プランの場合、基本的にはサービス提供地域が限定されていることはありません。ただし、地域密着型の引越し業者の場合、全国の引越しに対応していないことがあります。
大手引越し業者であれば、全国に対応していることがほとんどですので心配はありませんが、地域密着型の引越し業者を利用する際は注意が必要です。
単身引越しパックの場合、サービス提供期間が限定されていることがあります。よくあるパターンとしては、『繁忙期はサービスを一時中止する』というものです。
すべての引越し業者が該当するわけではありませんが、見積もり依頼時に事前確認しておくことをお勧めします。一方、単身プランの場合、サービス提供期間が制限されていることはありません。
ほとんどの大手引越業者では、単身専用の引越しパックを提供しています。今回は、大手6社の、『料金』、『積載量』、『サービス内容』について以下の図にまとめました。参考にしてください。
業者名 | サービス名称 | 料金 | 積載量 |
---|---|---|---|
ヤマトコンビニエンス | 単身引越しサービス | 12,000円(税抜) | 1.83m3 内寸:横104×奥行104×高さ170cm |
単身引越サービスmini | 11,000円(税抜) | 1.4m3 内寸:横104×奥行104×高さ130cm |
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アート引越センター | 取扱なし | なし | なし |
アーク引越センター | 取扱なし | なし | なし |
アリさんマークの引越社 | ミニ引越しプラン | 不明 | ダンボール10個まで ダンボールサイズ: タテ+ヨコ+奥行き=150cm以内 |
特ミニ引越しプラン | 不明 | たたみ1畳程度 | |
超ミニ引越しプラン | 不明 | たたみ3畳程度 | |
日本通運 | 単身パックS | 15,000円(税抜) | 内寸:横108×奥行74×高さ155 cm |
単身パックL | 16,000円(税抜) | 内寸:横108×奥行104×高さ175 cm | |
単身パックX | 51,000円(税抜)~ ※発着地点によって異なる |
内寸:横228×奥行170×高さ198 cm | |
サカイ引越センター | 小口引越便コース | 不明 | 内寸:横105×奥行75×高さ144 cm |
単身引越しサービス:単身向けの家財道具を一通り持っている方に適したパックサービスです。お届け時間を4区分から選択できる他、複数のオプションサービスを併用することもできます。
単身引越しサービスmini:必要最低限の荷物のみ運搬したい方に適したパックサービスです。『単身引越しサービス』よりも荷物量は少なくなりますが、サービス内容は同じです。
単身パックの取扱はありません。
超ミニ引越しプラン:少量の荷物を運搬したいときに最適な引越しサービスです。荷物量は、ダンボール10個までとなります。
特ミニ引越しプラン:ダンボール15個まで、テレビ小、チェスト小程度の家財道具の運搬に適しています。
ミニ引越しプラン:ダンボール20個まで、テレビ、冷蔵庫、洗濯機、電子レンジ、自転車などの引越しに対応しています。
※上記3つのプランは、同一区内、同一市内の5km以内限定です。また、日にちや時間の指定は不可となっています。荷造り・荷解きは自分で行う他、使用するダンボールの大きさは、縦+横+奥行き=150cm以内と制限されているため注意が必要です。
単身パックS:家具や家電は作業員が梱包してくれる他、時間帯指定や割引サービスを利用することも可能です。
単身パックL:『単身パックS』よりも、更に荷物をお任せすることができます。サービス内容は、『単身パックS』と同様です。運送保険が『単身パックS』よりも50万円高い150万円となっています。
単身パックX:大型の家具や家電に対応しているパックサービスです。150km以上離れたエリアへ引越しをする際に利用できます。サービス提供エリアに制限があるため注意が必要です。また、3/20~4/10までは販売対象外期間となります。
小口引越便コース:関西、関東間の引越しのみの対応です。梱包資材は有料提供となっています。公式ホームページ上では、詳しい案内が無いため直接問い合わせて詳細を確認してください。
次に、大手引越業者6社の単身プランについて見ていくことにします。前項と同じように、表にまとめましたので、参考にしてください。
業者名 | サービス名称 | 料金 | サービス内容 |
---|---|---|---|
ヤマトコンビニエンス | 単身引越ジャストサービス | 3万円前後~ | 2m3単位で区分しているため、トラック単位の引越よりも安くなります。 9時から18時の間で時間指定ができる他、600km圏内なら翌日配送可能です。 |
おまかせフリー割サービス | 2万円台前後~ | 家財量15m3以内、輸送距離50km以内、指定した5日間の間で、ヤマトに日時をお任せするサービスです。 | |
アート引越センター | おまかせパック基本コース | 3万円前後~ | 荷造り、荷解きは自分で行いますが、その他の引越し作業はお任せすることができます。 複数の割引サービスが利用できる他、『学生パック』、『レディースパック』、『シニアパック』との併用も可能です。 |
アーク引越センター | ミニ引越しプラン | 2万円台前後~ | 1R~1LDK程度の間取りで、荷物量が少ない近距離引越しに適したプランです。 |
ミニ引越長距離プラン | 2万円台前後~ | 1R~1LDK程度の間取りで、荷物量が少ない長距離引越しに適したプランです。 | |
荷物多め単身プラン | 2万円台前後~ | 1R~1LDK程度の間取りで、荷物量が多い引越しに適したプランです。 | |
アリさんマークの引越社 | 基本プラン経済パック | 2万円台前後~ | 荷造り、荷解きは自分で行いますが、その他の引越し作業はお任せすることができます。 |
長距離引越プラン | 4万円前後~ | 『長距離スペシャル便(オール自社便)』、『長距離エコ便(一部JRコンテナ便)』、『長距離エコリーズナブルパック(オールJRコンテナ便)』の中から選択することができます。 最も安いプランは、『長距離エコリーズナブルパック』です。 |
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日本通運 | 単身パック当日便 | 2万円台前後~ | 1R~2DKの間取りに住む単身者、引越先までの移動距離が車で30分前後、作業開始から4時間以内で終了する引越しという条件付きのプランです。 |
単身パックX | 51,000円から~ ※発着地点によって異なる |
単身の長距離引越し向けサービスです。鉄道コンテナを使用して家財道具を運搬します。 家財量が対応範囲を超えた場合は、訪問見積もりとなるようです。 コンテナサイズ: 内寸横228×奥行170×高さ198cm |
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サカイ引越センター | せつやくコース | 2万円台前後~ | 荷造り、荷解きは自分で行うコースです。 大型家具、家電の梱包や搬出搬入はすべてお任せすることができます。 |
ご一緒便コース | 2万円台前後~ | 荷物量が少なく、引越し費用を抑えたい方に適しています。 混載便となるため、荷物の到着日に余裕がある場合に限ります。 |
単身パックと単身プランには、それぞれメリットとデメリットがあります。以下で詳しくまとめましたので、参考にしてください。
単身パックの場合、訪問見積もりを行っていないことがほとんどです。心配であれば、訪問見積もりを依頼することもできますが、基本的にはWEBか電話で見積もりを依頼し、その場で契約となります。
そのため、明らかに荷物量が少ない方や、見積もりに時間を取られたくない方、多忙な方にとっては大変便利です。
一般的な引越しでは、旧居からトラックへ積み込むまでの間や、トラックから荷物を降ろして新居へ運び込むまでの間に、作業員が荷物に触れることになります。
もしも複数名の作業員が搬出搬入に携わっている場合、荷物破損のリスクがそれだけ高くなるのです。
その点、単身パック利用時は、専用のコンテナBOXの中に家財道具を詰め込んで輸送します。一度コンテナBOXの中に詰め込んだ荷物は、新居へ到着するまでの間、他の人の手に触れられることはありません。
つまり、コンテナBOXが荷物を保護する役割を果たしてくれるため、一般的な引越しよりも、破損するケースが少ないのです。
引越し料金は、トラックのサイズ、引越先までの距離、作業員の人数、オプションサービスの有無で大体決まってしまいます。ここで注目したいのは、『トラックのサイズ』です。
単身プランでは、トラック1台分の料金で請求されます。しかし、単身パックの場合、1台のトラックに複数台のコンテナBOXを積み込んで輸送するため、輸送費用は折半となるのです。
いうまでもなく、トラック1台分の輸送料金と、トラック1台をコンテナBOXの台数分で割った輸送料金とでは、明らかに後者の方が安く済むことが分かります。だからこそ、単身パックの方が安いといえるのです。
たとえば、日通の単身パックSの場合、コンテナのサイズが『(内寸)横108cm×奥行74cm×高さ155cm』と決められています。このサイズ内に荷物が収まらない場合は、そもそも単身パックのサービスを利用することが出来ないのです。
日通だけに限らず、単身パックのサービスを提供している引越し業者は、すべて同様の扱いとなっているため注意が必要です。
大手の引越し業者であれば、多くの荷物を扱っていることから、比較的短い期間で荷物を届けてくれるものです。ただし、同方面へ運搬する荷物が少ない場合は、一定量の荷物が集まってから輸送されるため、到着までに時間がかかります。
他にも、輸送する地域によっては、到着までに3日から1週間程度の時間が掛ることも珍しくありません。そのため、新居ですぐに新生活をスタートさせたい方に、単身パックは不向きなのです。
単身パック利用時、資材が無料提供・回収されないことがほとんどです。引越し業者によっては、梱包資材を無料提供・回収していることがあるかもしれませんが、高い確率で自ら準備する必要があると把握しておいた方が無難だといえます。
万が一、専用のコンテナBOXに荷物が収まらない場合、もう1台コンテナBOXを追加するか、収まらない荷物のみ宅急便、もしくは別便で輸送することになります。
収めることができなかった荷物のサイズ、量によっても話は変わってきますが、たとえば東京と埼玉間の引越しで、ヤマトコンビニエンスの大型家具家電輸送を利用した場合、三辺合計350cmサイズのシングルベッド・冷蔵庫・自転車(26インチ)・タンス・本棚が、1点15,050円(税抜)ほどです。
宅急便でいう120サイズくらいのダンボールを2箱から3箱程度送るのであれば、割高とまではいきませんが、10箱ほど送ることになったり、家具や家電がコンテナBOXに収まらなかったりした場合は割高になります。
単身プランの場合、荷物量や荷物のサイズに制限はありません。手配される車輌は、あくまでも家財道具の総容量をみて決められます。
単身プランの場合、契約時に梱包資材が無料提供されるケースが目立ちます。ダンボールの回収に関しては、業者によって有料・無料と対応は分かれますが、単身パックよりもきめ細かなサービスを受けることが可能です。
単身プランのデメリットですが、これといったデメリットはありません。挙げるとすれば、単身パックの相場料金よりも、高い引越し料金となることくらいでしょうか。
以上が、単身パック、単身プランのメリット・デメリットでした。荷物量やニーズに合わせて使い分けると良さそうです。簡単にまとめると、以下の通りとなります。
料金面でいうと、単身パックの方が安いというイメージはありますが、実際にはそういうわけではありません。
引越し業者によって料金が異なりますし、地域密着型の引越し業者へ依頼すれば、引越しの見積もりが単身パックより安くなることは多々あるからです。
また、自分ではコンテナBOXに荷物が収まると思っていても、当日になって収まらないことが判明したというケースは少なくありません。単身パックと単身プランのどちらが適しているか迷った際は、必ず見積もりを依頼してください。
単身引越しの費用を抑えるためには、ちょっとしたコツがあります。引っ越しの際、単身パックにしておけば料金が安くなると信じている人がいるようですが、そうとは限らないため注意が必要です。
今回は、3つのコツをピックアップしてみました。是非参考にしてください。
不要品を処分することは、単身引越しに限らず、すべての引っ越しに対して言えることです。使用頻度が高いものは残し、思い出の品以外で1年以上全く使っていないものは処分することをお勧めします。
また、引っ越し業者へ不要品処分を依頼すると、それなりの費用がかかることがあります。早めに不要品の選別を行い、自分で処分した方が安く済む場合は、対応可能な限り処分してしまいましょう。
単身引越しの費用を安く抑えたいのであれば、必ず相見積もりを取る必要があります。引っ越し業者によっては、即決を迫ってくる可能性がありますが、最低でも3社から4社から見積もりを取るようにしましょう。
契約するまでの期間、各引っ越し業者と何度かやり取りをすることになるため、その中で価格交渉を行います。どのくらい安くなるかは、交渉してみなければ分かりません。
交渉に成功すれば、最安値で引越しができるはずです。ただし、繁忙期はそれほど安くなりません。
引っ越し日に余裕がある場合は、引っ越し業者に引っ越し日時を決めて貰いましょう。そうすることで、非常に安く引っ越しをすることができます。場合によっては、引越し単身パックの価格よりも安い料金で引越しができることもあるようです。
基本的に、閑散期の平日、時間指定なしであれば、安い料金で引越しをすることはできます。しかし、引越し業者の都合に合わせた方が、より安価になりやすいのです。
つまるところ、単身パックはどのような人にお勧めなのでしょうか。特徴を3つピックアップしてみました。以下にまとめましたので、参考にしてください。
単身パックで使用するコンテナBOXは、1Rの家財量を想定しているケースがほとんどです。荷物量が少ない学生の引越しにも適しています。
単身サイズの家電を使用しているか、もしくは電化製品は引っ越し先に持っていかない方に最適です。つまり、たたみ1畳程度に収まる荷物量であれば、引越しの際に単身パックを使った方が料金は断然安くなります。
単身パックの場合、訪問見積もりという形式を取っていません。ほとんどが電話かWEBで引越し見積もりを行い、単身パックの契約へと至ります。そのため、見積もりを手軽に済ませたい人に適しているといえそうです。
単身程度の荷物量の場合、自分でやった方が安く済むと考えられがちです。しかし、結論からいうと、自分でやった方が高くつくことがほとんどとなります。
自分で引越しを行うと、引越し日時を自由に決めることができますし、自分のペースで作業を進めることはできますが、メリットはそのくらいです。
レンタカー代、ガソリン代、梱包資材代、友人などに手伝ってもらった際はお礼代など、想像以上に費用が掛ってしまいます。
たとえばレンタカーの場合、利用する業者やレンタルする車輌によって料金は異なりますが、2tトラックを1日借りると大体1万円以上の費用がかかるようです。
プラスαでガソリン代と梱包資材、お礼として友人へ食事をご馳走するなどの費用を考えると、2万円から3万円は軽く掛ってしまいます。ちなみに、長距離引越しを個人で行うのは、現実的な話ではありません。
1日で引越しが終わるとは限りませんし、その分レンタカー代やガソリン代などが高く付きます。また、数日間仕事を休むことができるとは限らないため、個人で長距離引越しを行うのは避けた方が無難です。
以上のことから、単身引越しは自分では行わずに、引越し業者へ依頼した方が安く済ませることができます。
今回は、単身パックと単身プランを提供している引越し業者を比較した他、単身パックと単身プランのメリット・デメリット。それから、引越し費用を抑えるコツ、自分で引越しをした場合安く済むのかについて、詳しくご紹介してきました。
単身パックと単身プランの違いを明確化することで、利用する際にどちらが適しているのか選択しやすくなったはずです。また、引越し費用を抑えるコツは、単身引越しに限らず、家族の引越しでも活用できる内容となっています。
引っ越し費用を安く抑えたいという気持ちは誰もが同じですが、単身引越しの全体像を把握していないと、誤ったサービスを利用することにつながるものです。
また、単身のらくらくパックのようなサービスは、どの引っ越し業者でも提供しているとは限りませんし、必ずしも安くなるわけではありません。まずは見積もりを取って、適したサービスを見極めることから始めたいものです。