ピアノを引越しの際に運搬すると、どの程度の費用が掛るのでしょうか。今回は、相場費用や運送料金が安い業者について、詳しく解説していくことにします。
まずは、以下の図をご覧ください。これは、ピアノの引っ越し相場を表したものです。
距離 | アップライトピアノ | グランドピアノ | エレクトーン |
---|---|---|---|
~10km | 16,300円 |
28,857円 |
13,367円 |
20km | 17,563円 |
29,433円 |
14,150円 |
30km | 18,367円 |
34,878円 |
16,888円 |
40km | 19,800円 |
38,432円 |
18,775円 |
50km~79km | 25,478円 |
43,800円 |
23,550円 |
80km~99km | 29,983円 |
52,367円 |
26,150円 |
100km~120km | 31,900円 |
53,913円 |
31,015円 |
基本的に、アップライトピアノは、グランドピアノよりも費用が安くなります。グランドピアノよりも重量が軽く、サイズもコンパクトだからです。エレクトーンに関しては、ピアノと比較すると安く済みます。
また、アップライトピアノ、グランドピアノ、エレクトーンは、引っ越し業者が提携している、専門の運搬業者へ依頼することがほとんどです。ほんのわずかな振動で、ピアノの調律は狂ってしまうため、専門的な技術をもった作業員が作業にあたる必要があるからです。
このような背景から、トータルの引っ越し費用は高くなります。また、引越業者を仲介して専門業者へ依頼することになるため、その分費用が高くなることも覚えておきましょう。
一般的には、ピアノの運搬を専門で扱っている業者へ直接依頼した方が、費用を安く抑えることができるはずです。
ただし、引越し当日に2つの業者が出入りすることになるため、引越しの作業効率は悪くなります。それだけではなく、信頼できるピアノ専門輸送業者を探すことは、手間も時間もかかるでしょう。
そのため、結果的に引っ越し業者へ全て依頼した方が、多少高くついたとしても手間や時間の節約になるといえそうです。
尚、引越し業者によっては、ピアノの引っ越しを同時に依頼することで、トータルの引っ越し費用を安くしてくれることがあります。見積もり時に相談してみましょう。
次に、以下の図をご覧ください。この図は、追加作業が必要となった場合に発生するオプションの相場料金表となります。
道幅が狭くてトラックを横付けすることができなかったり、階段やエレベーターを使用してピアノやエレクトーンを運搬する場合など、通常の料金以外で以下の
作業内容 | アップライトピアノ | グランドピアノ | エレクトーン |
---|---|---|---|
階段(1階ごとに) | 5,000円~10,000円前後 |
5,000円~20,000円前後 |
2,000円~8,000円前後 |
エレベーター | 2,000円~8,400円前後 |
3,000円~10,000円前後 |
5,000円~8,000円前後 |
クレーン | 10,000円から |
10,000円~27,000円前後 |
10,000円から |
手吊り | 10,000円から |
10,000円から |
10,000円から |
外段(10段ごとに) | 5,000円から |
5,000円~20,000円前後 |
5,000円から |
保管 | 150円から |
200円から |
100円から |
解体・組立て | 30,000円前後から |
30,000円前後から |
費用が追加となるのです。
特殊な作業が必要かどうかは、見積もりの際に確認することができます。たとえば、引っ越し先でクレーンを使用しなければならない場合、当日になって急に用意できるものではありません。
そのため、新居の間取りだけではなく、建物周辺の様子やエレベーターの有無、階段の広さ、窓の大きさなど、出来る限り正確な情報を集めておきましょう。
ピアノの引っ越し相場が分かったところで、次に運送料金の内訳について見ていくことにしましょう。ピアノの場合、内訳は3つに分けることができます。
移動距離、ピアノのサイズや種類、階段などの段差の有無の3つです。それぞれについて、更に詳しく解説していきます。
引っ越し先までの移動距離が長くなるほど、料金は高くなっていきます。ちなみに、現在の住まいから、新居までの移動距離だけで算出されるわけではありません。
運送業者の営業所から始まり、作業を終えて運送業者が営業所に戻るまでの距離で算出されることがほとんどです。
一言でピアノといっても、いくつかの種類やサイズがあります。アップライトピアノであれば、2名の作業員で運搬するケースがほとんどです。
しかし、グランドピアノはサイズが大きく、それなりの重量もあるため、3名以上の作業員で運搬することになるでしょう。人件費が掛る分だけ、当然引っ越し費用は高くなります。
アップライトピアノであれば、それほど気にすることはありません。しかし、サイズが大きなグランドピアノの場合は、ほんの少しの段差だけでも運搬に苦労するものです。
たとえば、引っ越しでピアノを2階以上へ運搬する場合、1階上がるごとに追加費用が発生します。エレベーターを使用する場合は、アップライトピアノで2,000円から8,400円。グランドピアノで3,000円から10,000円。エレクトーンで10,000円程度の費用が発生するでしょう。
また、階段やエレベーターを使用することができないときは、クレーン車を使って部屋まで搬入します。万が一、クレーン車を建物の付近へ横付けできない場合は、手吊りとなるのが一般的です。
重量がありサイズが大きなピアノ程、手吊りの際に人出が必要となることから、その分費用は高くなります。
大手の引っ越し業者であれば、一般的な引越しの他に、ピアノの引っ越しも扱っていることがほとんどです。
今回は大手8社のピアノ引越し料金と、サービス内容を比較してみたいと思います。
下図にまとめてみましたので、是非参考にしてください。
業者名 | 費用相場 | 調律 | 買取 |
---|---|---|---|
アート引越センター![]() |
公式HP上で非公開 距離が50km未満:アップライトピアノ2万円から3万円程度 ※追加料金 エレベーター +5,000円程度 階段 +7,000円程度 |
有り | 買取なし ただし預かりサービスは有り |
アーク引越センター![]() |
公式HP上で非公開 要問合せ |
有り | 買取あり、一時保管は要問合せ |
サカイ引越センター![]() |
公式HP上で非公開 近距離引越しは不可 要問合せ |
なし | なし |
日本通運![]() |
公式HP上で非公開 距離が50km未満:アップライトピアノ2万円程度 ※追加料金 エレベーター +2,000円程度 階段(1階ごと) +7,000円程度 |
有り | 買取、一時保管可能 |
アリさんマークの引越社![]() |
公式HP上で非公開 同一地区内なら2万円程度 |
有り | なし |
ダック引越しセンター![]() |
8,800円(税別)~ ※一部地域では割増になる可能性あり |
なし | なし |
ヤマトホームコンビニエンス![]() |
公式HP上で非公開 距離が50km未満:アップライトピアノ18,000円程度 ※状況:段差、階段なし |
なし | 購入後35年程度まで可能 ※電子ピアノは買取不可 |
sgムービング![]() |
公式HP上で非公開 距離が50km未満:アップライトピアノ25,000円程度 ※状況:段差、階段なし |
なし | なし |
公式ホームページ上では、運搬費用などは明記されていないことがほとんどです。見積もり時に、引っ越し先までの距離、ピアノの種類・大きさ、作業員の人数、オプションサービスの有無、引っ越し時期、時間帯、階段、エレベーター、クレーン車利用、作業の難易度によって、実際の料金は決定します。
尚、電子ピアノの場合は、アップライトピアノやグランドピアノと扱いが異なります。通常の荷物と一緒に、見積もり料金が出されるのです。
ただし、他の荷物と一緒に運搬し、新居へ搬入した後、音が出ないなどのトラブルが発生するリスクはあるでしょう。
そのため、心配であれば厳重に梱包して輸送してもらうか、自ら運んだ方が安心かもしれません。ピアノの引っ越しの中でも、ヤマト運輸の楽器輸送サービスは、楽器の輸送に特化したサービスとして有名です。
しかし、トラックの振動によって生じた故障に対しては、一切補償はついていません。万が一壊れてしまった場合の補償に関しては、十分に確認をしておきましょう。
引越しにおけるピアノ運送料金比較が終わったところで、次はピアノの運送費用を安くするコツについて見ていきます。
ピアノの輸送費は相場が決まっているものですが、ちょっとしたコツを取り入れることで、より費用を抑えることができるでしょう。
まず、電子ピアノの場合は、キーボードと鍵盤部分を分解できることがあります。その場合、予め分解して丁寧に梱包しましょう。引越作業員に任せることも可能ですが、別途費用が発生する可能性があります。
また、アップライトピアノ、グランドピアノ、エレクトーンは、分解することができない楽器です。しかし、椅子であれば自分で梱包することができるでしょう。
ピアノの輸送のみを依頼できるケースもありますが、そのような引越し業者はあまり多くはありません。また、他の家財道具と一緒に引越しを依頼した方が、費用を安く抑えることができるケースもあります。
ほとんどの引っ越し業者では、ピアノ輸送専門の業者と提携しており、ピアノの搬入、搬出、輸送は、すべて専門業者が担当しているものです。
引越し業者によっては、ピアノ輸送専門のスタッフを抱えていることもあるでしょう。
口コミ情報を見てみると分かりますが、通常の引っ越しと一緒に、ピアノの引っ越しも依頼すると、トータルの引っ越し費用を割引にすると提案されるケースが多いようです。
通常の引っ越しのみの費用と、ピアノの引っ越しを依頼した際の費用がどの程度違うのか、見積もり時に必ず確認しておきましょう。
引っ越し費用は、各業者ごとで異なります。そのため、必ず3社から4社へ見積もりを依頼しましょう。同じ条件であっても、驚く程料金は異なります。
極端に安い場合は警戒が必要ですが、他社の見積金額を伝えることで、より条件に合った業者が見つかるはずです。
ピアノの運搬は、他の荷物のようにはいきません。梱包にも運搬にも手間と時間がかかります。
事前に確認しておきたい注意点について、5つご紹介していきましょう。
ピアノのサイズが大きくなるほど、一度設置した場所から移動させることが難しくなります。
そのため、新居でどの位置に置くのか、予め決めておくようにしましょう。また、ピアノは重量があるため、年数が経つにつれて床が凹んでしまう恐れがあります。設置場所を決めたら、敷板を敷いておくことをお勧めします。
敷板は、頑丈であれば木の木端のようなものでも構いません。ホームセンターなどで数百円程度から購入できます。元々敷板を持っている場合は、破損していない限り使い回しても良いでしょう。
建物の構造によっても異なりますが、アップライトピアノやグランドピアノは、それなりの重量となります。
そのため、設置する場所の床が頑丈かどうか確認しましょう。また、防音対策のためにも、隣近所の部屋の構造も考慮した方が良いでしょう。壁から若干離して設置するだけでも、防音対策となります。
ピアノを新居へ搬入した後、すぐに調律をしたくなりますが、1週間程度時間を置いてから調律した方が音色が安定しやすくなるといわれています。
なぜなら、湿度や室温などの環境の変化によって、弦やフレームは緩みやすくなるからです。
ただし、新しいピアノの場合は元々音が狂いやすいことから、引っ越し後もコンスタントに調律する必要があるでしょう。
引越し業者によっては、調律を依頼できるケースもありますが、引越しから日数が経過していても依頼できるか確認しておきましょう。
もしくは、今後も調律を依頼するのであれば、自分で調律師を探した方が良いかもしれません。
明らかにクレーン車が必要となる場合を除き、クレーン車の利用有無は業者に確認して貰いましょう。マンションやアパート前の道幅、建物の入り口、玄関、窓の大きさなど、素人では判断できない重要なポイントが複数あります。
また、新居の玄関や窓のサイズ、搬出・搬入経路に関しては、できるだけ正確な情報を伝えなければなりません。
内容によって、作業の難易度や必要となる作業員の人数、設備などが異なるからです。特にクレーン車に関しては、当日急に手配することが困難ですので、引越しの見積もりそのものを早めに依頼することが重要となるでしょう。
ピアノの搬入や搬出には、時間がかかるものです。そのため、午後の遅い時間から引っ越しを始めてしまうと、隣近所に迷惑をかけることになります。
引越し業者のスケジュールや都合も考慮しなければなりませんが、日中の時間帯に引越しを完了させるようにしましょう。
できれば、遅くとも午後の早い時間帯から引っ越し作業は始めておきたいものです。夕方から夜の時間帯は、可能な限り避けた方が無難です。