引っ越しでペットを連れていくことになった場合、どのようにして連れて行くのがベストなのでしょうか。いうまでもなく、引っ越しはペットにとって大変なストレスとなります。
ストレスを最小限に抑えつつ、できるだけ負担をかけずに引っ越しを終わらせるにはどうしたら良いのでしょうか。ペットの輸送方法について、詳しくみていくことにしましょう。
引っ越し先の新居でペットが飼えない場合を除き、飼っている犬や猫を新居へ移動させるためにはどうしたら良いのでしょうか。
まずは以下の図をご覧ください。これは、引っ越しの際、ペットをどのようにして連れて行ったかを表している図です。
一番多いのは、自家用車で連れて行ったという回答ですが、次に多いのは電車や飛行機などの交通機関を使って連れて行ったという回答でした。このことからも、多くの人が犬や猫と一緒に新居へ移動していることが分かります。
そもそも、ペットを引っ越し時に移動させるには、どのような方法があるのでしょうか。大きく分けると4つの方法があります。それぞれのメリット、デメリットについて詳しくみていくことにしましょう。
一番お勧めなのは、自家用車で一緒に移動する方法です。普段から自家用車に乗る習慣がある場合、犬や猫に与えるストレスを最小限に留めることができます。
また、一緒に移動することによって、こまめに休憩を挟んだり、移動途中でトイレ休憩を設けることも可能です。そのため、飼っている犬や猫の体調に合わせて、マイペースで移動できるというメリットがあります。
デメリットとしては、車酔いする可能性があるということでしょうか。事前に酔い止めを飲ませておいたり、移動前の食事を控えるなどして対処することをお勧めします。
それから、普段、自家用車に乗る機会が少ない場合、興奮したり落ち着かなかったり、ちょっとした隙に脱走する恐れがあるものです。心配であれば、動物病院にて安定剤などを処方してもらうと、比較的落ち着いた状態で移動することができます。
尚、自家用車が無い場合は、レンタカーを活用しても問題ありません。大手のレンタカー業者であれば、各地域に店舗があります。新居の近くにある店舗で返却できるように手続きをしておけば安心です。
飛行機や電車、バス、新幹線などで移動する方法もあります。一緒に移動することも可能ですが、飛行機の場合は貨物室に乗せて運ぶのが一般的です。
たとえばJALの場合、『ペットとおでかけサービス』という名称の輸送サービスを提供しています。空調の効いた室内で預かって貰える他、緊急時に相談できる獣医の紹介、ペットホテルの手配などサービスが充実しており安心です。
事前に予約をしてペットクレート（S / M / L / XLサイズ）をレンタルし、ペットクレート1つにつき原則1匹のペットを入れて輸送します。重量に制限があるため、事前に確認しておきましょう。
また、費用はペットクレート1個につき1区間あたり3,000円から6,000円までと幅があります。東京～札幌間だと6,000円で輸送が可能です。ひとつ気をつけたいのは、航空会社によって預けることができないペットの種類があるということです。
JALの場合、環境の影響を受けやすいフレンチ・ブルドックやブルドックは、そもそも預けることができません。また、健康状態が良好ではない場合も預けることが難しくなります。飛行機に初めて乗るのであれば、怖がらせてしまう可能性も否めません。
引っ越しでペットを飛行機にて移動させようと思っても、100％必ず乗せることができるわけではないため、事前に問い合わせをして確認しましょう。
電車や新幹線で移動する場合ですが、犬や猫は手回り品の扱いとなります。長さ70㎝以内、縦、横、高さの合計が90㎝程度のケースに入れなければなりません。
重量は、10kg以内(ケース + ペットの体重)です。手回り品は、普通手回り品きっぷを購入することになりますが、1つにつき280円程度と格安です。
とはいえ、駅や駅の構内でケースから出すことができないため、かなりのストレスを与えることになります。
バス会社によって扱いが異なります。臭いや鳴き声などで周囲のお客さんに迷惑をかけないのであれば、ペットの持ち込みが可能なところもありますし、全く受付けていないバス会社もあるものです。
持ち込み可能な場合、別途料金が掛ることはありませんが、ペット専用ケースに入れた状態でトランクルームに入れることになります。サイズ制限が設けられていることもあるため、事前に確認しておきましょう。
ペットの輸送を、専門的に扱っている業者へ依頼する方法もあります。犬や猫の生態に詳しいプロが、付きっきりで側にいてくれるため安心です。ただし、費用は安くありません。
陸送と空輸、ケージのサイズ、移動距離などによって料金は異なりますし、到着までに掛る日数も様々です。たとえば、東京～大阪間だと最低でも3万円台後半くらいの費用が掛り、日数も1日から2日程度となります。
引っ越し業者によっては、ペット輸送をオプションで受付けていることがあります。アート引っ越しセンターでは、家財道具と一緒に新居まで移動できる車両を使った引っ越しを提供していますが、その場合はペットの同乗が可能です。
ただし、遠距離の引っ越しには対応していません。
また、『愛玩動物飼養管理士』の専門資格を有したスタッフがいる引っ越し業者であれば、ペットをトラックに乗せて輸送してくれることもあるようです。
非常稀なケースではありますが、この方法であれば少しはストレスを緩和できるかもしれません。
ちなみに、ほとんどの引っ越し業者では、ペット輸送業者を紹介したり、仲介するだけに留めています。そのため、自ら専門業者へ依頼するよりも割高です。
ホームページ上で、正確な料金を提示していない引っ越し業者がほとんどですので、実際の費用は直接問い合わせるようにしましょう。
余談ですが、ヤマト運輸のホームページ上では、航空便を使ってゴールデンレトリバーを輸送した場合、東京大阪間で45,600円～。東京福岡間で55,200円～となっていました。
引っ越しでペットだけ輸送したい場合や、同乗しながらペットと一緒に移動したいけれど、自家用車がない場合。
もしくは、交通機関を使うことが難しい場合は、ペット輸送の専門業者へ依頼することを検討しましょう。
引っ越し業者へ依頼するよりも、費用を抑えることができるはずです。また、引っ越しの業者によっては、ペット可とされている場合であっても、輸送時の環境が万全ではなかったり、専門業者に丸投げしているケースが目立ちます。
ペットは大切な家族ですので、犬や猫の扱いに慣れているペット輸送の専門業者の方が、安心してお任せできるはずです。
今回は、大手のペット輸送専門業者のサービスや料金を比較していきましょう。以下にまとめましたので、是非参考にしてください。
| 業者名 | エイチケイ | ワンダフル | ワンニャンキャブ | 湘南ペットハイヤー | わんにゃんハイヤー |
|---|---|---|---|---|---|
| 対応地域 | 全国対応 | 全国対応 | 全国対応 | 全国対応 | 東京都、神奈川県、 長距離輸送は全国対応 |
| 目安料金 | ～10kmまで4,500円 11km～(1kmにつき)250円 |
5km 2,000円 以降1km毎に200円 (100km以降割引あり) |
例)中型犬1匹空輸 ※東京品川区～大阪市 39,900円 |
実車料金+高速料金の合計 例) 20kmまで5,000円 40kmまで200円/km 40～80kmまで160円/km 80～120kmまで120円/km 120km以降90円/km |
2km～50kmまで1km毎に380円 51km～55kmまで5km毎に1,500円 56km～60kmまで5km毎に1,000円 61km～200kmまで10km毎に1,000円 201km～500kmまで20km毎に1,500円 501km～1,000kmまで50km毎に3,000円 1,000km越は100km毎に5,000円 |
| 輸送方法 | 車・飛行機 | 車・飛行機 | 車・飛行機 | 車・飛行機 | 車・飛行機 |
| 家族の同乗 | 可能 | 1名まで可能 | 原則不可 | 可能 | 可能 |
| 保険・保証 | 保証、免責事項に基づく | 承諾書等の内容に基づく | 輸送条件承諾書に基づく | 事故時補償あり | ホームページ上に記載なし |
| キャンセル料 | ホームページ上に記載なし | ホームページ上に記載なし | 前々日0% 前日50% 当日100% ※航空料金は含まれない |
前々日0% 前日50% 当日100% 送迎中のキャンセル見積もり金額全額現金払い |
ホームページ上に記載なし |
| 別料金 | 有料道路料金 有料駐車場料金 お迎え料 待機料金 立ち寄り料金 割増料金 |
お迎え料 待機料 高速料金 乗り捨て料金 深夜早朝割増 ペットホテル料金 航空輸送料金 |
ケージ料金 ※その他の料金は要問合せ |
送迎料金 待機料金 ※その他の料金は要問合せ |
お迎え料 割増料金 待機料 空輸代行料金 高速料金 |
正式名称は、エイチケイEXPRESSです。24時間365日年中無休で全国送迎しています。ペット輸送に限らず、ペットタクシー、ペット送迎、ペットの引っ越しも行っており、輸送のスペシャリストといっても過言ではありません。
また、動物病院やペットホテルと連携しているため、万が一のことがあっても安心です。
ワンダフルは、年間700件のペット輸送実績がある老舗の専門業者です。引っ越しの輸送以外にも、旅行先・美容院、病院までの送迎にも対応しています。運転ドライバーは、動物取扱主任が担当しており、車内の清掃や消毒は万全です。
尚、長距離の陸送時は、2時間から3時間毎に休憩を取り、トイレのお世話、水分の補給までサポートして貰えます。これなら、初めての利用でも安心です。
ワンニャンキャブは、動物輸送歴20年以上の専門業者です。動物園の動物輸送もおこなっており、経験豊富なスタッフが対応してくれます。
公式ホームページ上では、23年間無事故で対応していることを謳っているため、とても信頼できる業者だといっても良さそうです。
日本で初めてペット輸送事業を開始した、阪急国内空輸株式会社の協力会社として活動をはじめた経歴もあり、動物輸送後術や経験、知識は業界トップクラスです。
基点は関東近県ですが、全国へのペット輸送や引っ越しにも対応しています。創立が1997年6月ということもあり、ペット輸送の実績は問題ないといえそうです。
ホームページを見ると良く分かりますが、料金が非常に分かりやすく記載されています。
ペット輸送は高額だと思われがちですが、事前に料金を知りたい人は参考までにホームページを覗いて見ることをお勧めします。
ペット輸送を行っている業者としては、小規模な輸送業者です。メインはペットタクシーですので、近距離のペット輸送に適しています。また、空輸手続きの代行、羽田空港までの送迎・受け取り代行も対応可能です。
一番の魅力は、同乗する家族の人数、ペットの数によって料金が割り増しにならないことです。また、ペットシッターサービスも提供していることから、ペットの扱いに慣れています。
そのため、大切なペットが車での移動に慣れていなくても、安心して輸送することができるはずです。
住み慣れた旧居を離れて新居へ引っ越しをすることは、ペットにとって大変な負担となります。この項では、ペットの引っ越しの際に気をつけたい、5つの注意点についてみていくことにしましょう。
旧居で使用していた玩具、タオル、餌箱、トイレなどには、飼っているペットの匂いが付いています。輸送中はもちろんのこと、新居へ移動した際もしばらくは同じものを使用しましょう。
そうすることで、安心感を与えることができますし、急な環境の変化を感じ取ったとしても落ち着かせることができるはずです。
ペットの身の回り品を新調するのは、新居での生活に慣れてからでも遅くはありません。
ペットを輸送する際、ケージやキャリーケースに入れることになります。自家用車であれば、車内で自由にさせてあげることができますが、その他の輸送手段だとそうはいきません。
ケージやキャリーケースに長時間に亘って閉じ込めておくと、精神的も肉体的もかなりの負担が掛ります。
そのため、引越しが決まった時点から、ケージ・キャリーケースに入れる癖をつけておきましょう。
引っ越し当日になって、急にケージやキャリーケースへ入れることは困難です。また、異変を察知して逃げ出してしまうこともあります。
普段使用しているタオルや玩具と一緒に入れるようにすると、多少は落ち着いてくれることもあるため、色々と工夫をしてみましょう。
輸送中は、ペットが居なくなるリスクが付きまといます。本来あってはならないことですが、万が一の時のために迷い札をペットの首に付けておきましょう。
迷い札には、電話番号、住所、名前を記入し、雨に濡れても文字が滲まないようにしておくことをお勧めします。
引っ越し前から、ペットの体調管理に気をつけておきましょう。健康状態が良好であっても、輸送時はかなりの負担をかけるものです。体調が悪い状態で輸送すると、命にかかわることがあります。
また、輸送する6時間くらい前から食べ物は与えず、飲み水程度に留めておきましょう。これは、乗り物酔いを緩和する一般的な手法の1つです。
尚且つ、元々乗り物に慣れていない場合や、乗り物酔いしやすい場合は、病院から酔い止めの薬を貰っておき、前もって飲ませておきます。
家財道具の量が多く、荷造りや搬入や搬出で時間が掛るのであれば、一定期間だけ友人宅や実家で預かってもらうことをお勧めします。新居の片付けがひと段落してから一緒に住み始めた方が、ペットも安心できるはずです。
預け先が無いときは、ペットホテルに一定期間だけ預ける方法もあります。万が一のことがあっても、すべて対処して貰えるため安心です。
引越しでペットを新居へ連れていく際、何か必要となる手続きはあるのでしょうか。実は、犬の場合のみ住所登録を行う必要があります。
狂犬病が地域で発生した場合、すぐに対応できるようにとの配慮から、このような措置が取られているのです。
手続きは転居先にある市区町村役場、保健所、動物管理センター、委託動物病院で行います。持ち物は、引っ越し前の市区町村役場などで発行された犬の鑑札、狂犬予防注射済証、飼い主の本人確認書類の3つです。手数料は掛りません。
手続き時に、新しい犬の鑑札を貰うだけとなります。万が一、新規登録手続きを行ってしまうと、二重登録となるため注意が必要です。
また、旧鑑札を紛失した場合は、再発行手続きをしなければなりません。
その際、手数料として1,600円から1,800円程度掛ります。新規登録の約半額で再発行できますが、紛失しないに越したことはないものです。
手続きに必要となる持ち物は、忘れないうちに揃えておきましょう。尚、手続きは、引越しをした日から数えて30日以内に行う必要があります。
新居への引っ越しが無事に完了した後も、まだやるべきことが残っています。この項では、特に大切な3つのことをご紹介しましょう。
複数の部屋がある場合は、1部屋ずつ慣れさせていきましょう。そして、できるだけ一緒に部屋の中で過ごすのです。その方が犬や猫も安心しますし、より早く新居に慣れることができます。
また、事前に壁や床を保護しておくと、入居早々傷をつけたり汚す心配がありません。できれば、家財道具を搬入する前に済ませておきたいものです。
引越し先の新居がペット可のマンションやアパートだったとしても、近隣へ挨拶と報告をしておくようにしましょう。新居に慣れるまでの間は、無駄吠えをしたり、ちょっとした隙間から脱走する可能性があるからです。
そして、宅内の生活に慣れてきてから、徐々に近所を散策しておくと、より新居での生活に慣れさせることができます。
それだけではなく、ご近所の方と交流を持つことで、ペットに関する様々な情報を仕入れることができたり、万が一のことがあったときに助けて貰うことができます。
輸送時や入居当初は元気でも、少ししてから体調を崩すことがあります。そのため、事前に動物病院を探しておき、迅速な対応ができるようにしておきましょう。
もしも、かかりつけの動物病院がある場合は、早めに病院を紹介して貰うことをお勧めします。
繰り返しお伝えしている通り、飼い主が考えている以上に、引っ越しはペットにとってストレスとなります。転勤族の人が飼っている犬や猫は、短命だという話もあるほどです。
この項では、犬と猫に分けてストレス対策について解説していきます。
できれば、引っ越しをする数ヶ月前から、留守番の練習や外出・外泊の練習をしておきましょう。ペットホテルへ定期的に預けるのも一考です。
少しでも離れると不安がる傾向にある場合は、動物病院へ相談しながら対策を練る必要もあります。
また、引っ越し当日は、ギリギリまでいつもの環境で過ごすことができるようにし、できるだけケージ・キャリーケースへ入れる時間を短くしましょう。そして、使い慣れている
タオル、玩具などを常に側へ置いておくことをお勧めします。
引っ越し後については、最低でも数日間は愛犬と一緒に過ごすようにし外出を控えます。可能な限り、旧居で生活していた環境に近い雰囲気にした方が、早く新居に慣れることができるはずです。
そして、異変を感じたり、落ち着かなかったり、下痢をするなどして体調不良が続くようであれば、早めに病院へ連れていくようにしましょう。
犬の場合と同様で、引っ越し当日は直前まで環境をそのままにすることをお勧めします。輸送の為にケージに入れるのも、出発ギリギリまで控えた方が無難です。
そして、引っ越し後はいち早く生活スペースを確保し、旧居での生活環境に近い雰囲気を作ってあげます。
トイレ、水、餌の配置をいつもと同じようにするだけでも、ストレスを軽減することが可能です。また、動物病院で尿スプレーを入手しておき、縄張りを広げるための手助けをすることも重要となります。
しばらくの間、ケージの扉は開けたまま放置し、飼い猫が自分から行動範囲を広げていくまで気長に見守ることもポイントです。引っ越し後、数日経過すれば、自然と興味を持って部屋の中をうろつくようになります。
このようにして、飼い猫が自分で行動範囲を広げて、宅内にある部屋1つ1つに慣れていくやり方が得策なのです。それから猫の場合、ちょっとした隙間から脱走することがあります。しばらくは、窓やドアを締め切ることも忘れてはいけません。
万が一脱走した場合、慣れていない環境下ということもあって、迷子になることがあります。交通量が多い地域だと、交通事故にあう危険性も否めません。
つまるところ、犬も猫も、新居の部屋の環境に早く慣れることができるよう、時間をかけつつ見守っていくことが大切なのです。
ペットにとって、生活環境が変わるということは、命にかかわることでもあります。引っ越し前後は、些細な変化であっても見逃さないようにしましょう。
