各引越し業者では、様々な格安引越しプランを提供しています。その中の1つが、『積み切リプラン』です。今回は、積み切りプランについて詳しく取り上げていくことにしましょう。
その他にも、料金相場、引越しで積み切りのプランを利用するメリット・デメリット、利用時のコツやリスクなど、積み切りプランに関連する情報をご紹介していきます。
積み切りプランとは、契約したトラックに積むことができる荷物のみ運搬するサービスです。つまり、積むことが出来なかった荷物は、自ら運搬しなければなりません。積み切りの意味は、このようなサービスの背景から名付けられています。
本来の引越しでは、荷物の全体量に合わせてトラックのサイズを決定するものです。しかし積み切りプランの場合、荷物量ではなくトラックのサイズに合わせて引越しをします。
たとえば、2tトラックと3tのトラックのどちらを利用するか決めかねている際に、営業担当者から積み切りプランが提案されることがあります。引越しの料金は、トラックのサイズ毎で異なりますので、ワンサイズ小さなトラックの方が経済的です。
万が一、積み切ることが出来なかった場合は、引越し当日慌てて荷物を処分したり、自ら乗用車で運搬するなど対応しなければなりません。とはいえ、できるだけ近距離引っ越しの費用を抑えたい方に最適な引越しプランです。
積み切りプランを利用した場合、どの程度の費用が掛るのでしょうか。相場料金についてリサーチしてみましたが、信憑性が高い情報は見当たりませんでした。
そこで今回は、『ZERO1引越センター』、『ニコニコ引越センター』が提供している引っ越し積み切りのプランを取り上げることにします。
また、現在は積み切りサービスを提供していませんが、『ムービングエス』が引越しで2tロング積み切りを行った際の事例がありましたので、こちらも併せて取り上げました。併せて参考にしてください。
尚、今回取り上げた2社以外でも積み切りプランを提供している業者は存在しますが、ホームページ上で料金を公開しているケースはほぼありません。利用を検討する際は、必ず事前に問い合わせるようにしましょう。
サービス名称:大物積切プラン
サービス内容:ダンボールなどの小物は自分で運搬し、大物家具や家電のみZERO1引越センターへ依頼するプランです。
料金相場:40,000円から
サービス名称:軽トラック1台積み切りプラン
サービス内容:同一市内の近郊引越しに対応しており、1日5件限定のプランです。作業員2名での対応となるため、大物家具や家電を安心してお任せできます。ただし、その他の割引との併用は不可となっており、繁忙期(3/10から4/10)は利用することができません。
料金相場:7,000円(税別)
サービス名称:1.5tトラック1台積み切りプラン
サービス内容:同一市内の近郊引越しに対応しており、1日3件限定のプランです。作業員は2名から3名での対応となります。その他の割引と併用できない他、繁忙期の利用が不可な点は軽トラック1台積み切りプランと同様です。
料金相場:14,000円(税別)
補足ですがニコニコ引越センターの場合、上記でご紹介した以外にもいくつかの注意点があります。事前に問い合わせをして確認してください。
サービス名称:積み切りプラン
サービス内容:現在は引越し2トンロング積みきりを含めた、積み切りサービスを提供していません。そのため、ホームページ上ではサービス内容について一切案内はしていない状況です。
料金相場:公式ホームページ上で、過去の事例として案内されていた引越し内容と料金は以下の通りとなります。
引越し時期:2月
作業員:3名
時間指定:フリー便利用
荷物内容:冷蔵庫、レンジ、レンジ台、食器棚、本棚×4、TV(42型)、テレビ台、ドラム式洗濯機、子ども用2ベッド、勉強机、カラーボックス、段ボール(積み込める分のみ)、ハンガーBOX4本、衣装ケース10個
引越しの内容としては、上記荷物をトラックに積み込み、残りの荷物は一般的な乗用車で4~5回往復する程度だったようです。
上記のケースは2tロングだったものの、2t積み切り引越しで運搬する場合は、段ボールや衣装ケース、ハンガーBOXは一切積めない可能性が高いといえます。
この項では、引っ越し積み切りを利用した場合の、メリット・デメリットについて見ていくことにします。
以下にまとめましたので、参考にしてください。
積み切りプランのメリットのところでも取り上げましたが、短距離や中距離の引越しをする場合、積み切りプランが適しているケースがあります。必ずしも適しているとはいえませんが、理由は以下の2点です。
まず1つ目として、積み切れなかった際に対応しやすいことが挙げられます。長距離引越しを検討している方が積み切りプランを利用した場合、積み残しが出た時点で早急に自ら対応しなければなりません。
とはいえ、早急に対応したとしても、長距離引越しは当日中に新居へ移動しなければならないケースが多く、残ってしまった荷物をなんらかの手段で運搬できるかどうかは分からないものです。
しかし、近距離引越しや中距離引越しであれば、大変さは長距離引越しと変わりはないものの、新居が比較的近隣にあるためトラブル発生時に対応しやすいメリットがあります。
2つ目は、割引率が高くなりやすいということです。引越しの料金は、国土交通省の『標準引越運送約款』で定められています。多くの引越し業者が、『標準引越運送約款』を基に料金を決めているのです。
新居までの距離が100km未満だと時間制(4時間・8時間)、100km以上だと距離制で料金が変動します。また、トラックのサイズによっても、時間制・距離制共に料金が変わる仕組みです。
引越し業者ごとで長距離引越しの輸送手段は異なりますが、割引をしようにも限界があります。
しかし、近距離・中距離引越しの場合、作業時間を4時間に抑え、トラックのサイズを小さくすることで、通常価格よりも1万円から2万円前後安く抑えることが出来るのです。
また、多くの積み切りプランは最低限のサービスのみ提供しており、その分の料金が元々割引されています。そのため、長距離引越しよりも近距離・中距離引越しの方が割安となりやすいのです。
全体の荷物量が少ないことが条件とはなるものの、以上の理由から積み切りプランは短距離・中距離の引越しに最適だといえます。
引越しで積み切りプランを利用する上で、非常に気になるのが積み残しのリスクです。リスクが全くないのであれば、格安になる積み切りプランは魅力的なサービスですが、実際のところはどうなのでしょうか。
結論からいいますと、積み残しが出るかどうかはトラックへ荷物を積んでみないことには分かりません。そういった意味では、大変リスクが高いサービスだといえそうです。
そもそも積み切りプランは、引っ越し費用を抑えることが最大の目的であり、引越し業者としては荷物の積み残しが発生した場合、何の補償も設けていないことがほとんどとなっています。
そのため、トラックサイズの大胆な変更は大変危険といっても過言ではありません。
たとえば、4tトラックから2tトラックへの変更は避けた方が無難なのです。どうしても2tトラックへ変更したいのであれば、かなりの量の荷物を処分することになります。
また、ほとんどの引越し業者では、荷物の積み残しがないように余裕を持ってトラックのサイズを決めています。そのため、見積り依頼時に申告していた荷物量より多少増えた場合でも、対応して貰えることがほとんどです。
しかし、積み切りプランでは、上記のような対応をして貰うことができません。無理矢理荷物を積んだ場合、安全に運搬できないどころか荷物の破損に繋がります。当然、荷物破損時の補償は行っていないことから、後味の悪い引越しとなってしまうものです。
事前に営業担当者としっかり打ち合わせをし、必ず訪問見積もりを行っておかないと、大きなトラブルに発展するリスクもあります。
その他、悪質な引越し業者の場合、契約を獲得したい営業担当者が積み切りプランを提案し、当日になって作業員から積み残しが発生する旨を伝えられるというトラブルも少なくないようです。
積み切りプランを利用する際は、上記のようなリスクがあることを把握した上で、自己責任の上、契約することをお勧めします。
積み切りプランを使用する際は、これからご紹介する3つのコツを活用してみてください。活用することで、引越し当日に積み残しが発生するリスクを、極力回避することができるはずです。
見積りを依頼した際、荷物量を確認した上で営業担当者がトラックのサイズを決めます。問題なくすべての荷物を積むことができると判断された場合でも、極力不要品は処分しておきましょう。
特に普段使用せずに物置や押し入れの中に眠っている荷物は、可能な限り処分することをお勧めします。なぜなら、収納場所にしまってある荷物を、見積り依頼時に営業担当者に見せないケースが多いからです。
正確な荷物量が分からないと、最適なトラックサイズを決めることができません。引っ越し当日になって、見積り依頼時に申告していなかった荷物が大量発生すると、積み残しとして旧居に残されてしまいます。
最近は、電話やネットのみで見積りを完結するケースが増えてきています。積み切りプランを利用する場合は、必ず訪問見積もりを依頼しましょう。
多くの営業担当者は、実際に現場の作業に携わった経験があったり、トラックへ荷物を積んだ経験があります。
そのため、荷物量を見るだけでおおよそのトラックサイズが分かるのです。電話やネットのみの見積り依頼だと、素人目での判断となることから積み残しが発生しやすくなります。
トラブルを回避するためにも、必ず訪問見積もりを依頼しましょう。
積み残しが発生した場合を、予め想定しておきましょう。できれば、トラブル発生時にトラックへ積まない荷物を決めておいた方が対応しやすくなります。
すべて積み切ることができるに越したことはありませんが、最悪の場合を想定しておけば慌てずに済むはずです。
たとえば、宅急便を利用した場合の料金、集荷依頼方法、梱包方法の他、自家用車で運搬することができるかどうかの確認、当日からでもレンタカーを借りることができるかどうかの確認は、最低限事前に済ませておきましょう。
それでは最後に、積み切りプラン利用時5つの注意点について解説していくことにします。近年、積み切りプランは、トラブルが発生しやすいサービスであることから、サービスを提供しない引越し業者が増えているようです。
これからご紹介する5つの注意点を参考にしながら、積み切りプランを利用するか十分に検討をしてください。
引越し料金を安く抑える方法は、積み切りプランを利用するだけではありません。割引キャンペーンを活用する他、早めの予約、時間帯や日時を極力指定しないことなど、いくつか方法があります。
そのため、積み切りプラン以外で安くなる方法はないか、必ず確認しておくようにしましょう。また、3社から4社へ見積もりを依頼し、値引き交渉を行うことも忘れてはいけません。
悪質な引越し業者によっては、格安になりやすい積み切りプランを提案してくることがあります。経験が豊富な営業担当者であれば、ある程度安心してお任せできますが、最悪の場合積み残しが発生する可能性があるものです。
そのため、最初から安くする目的で積み切りプランのみ勧めてくる引越し業者は、利用を避けるようにしましょう。
たとえば、資材の無料提供や養生など、標準の引越しサービスでは提供されているものが、積み切りプランでは提供されないことがあります。その他、引越しの時間を指定できない等、なんらかの制約があるものです。
元々不要だったサービスが省かれても不便さを感じることはありませんが、梱包資材を自分で用意することが難しい等、支障をきたす可能性があります。
そのため、積み切りプランを利用することで、利用することができないサービスは無いか確認をしておきましょう。
トラブルが発生したときに備えて、時間に余裕がない引越しの場合は、積み切りプランを利用しない方が安心できます。すぐに新居へ移動しなければならない状況で積み残しが発生した際、当日中に対応できない可能性があるからです。
最悪の場合、荷物を旧居へそのまま残しておくにしても、不動産会社へ相談をして部屋の引き渡し日を延期しなければならないこともあります。
そうなると、別途家賃が日割りで発生するなど、結果的にトータルで掛る引っ越し費用が高くつくことがあるものです。
そのため、時間に余裕があり、積み切りプランのメリットを十分感じられない限り、利用は控えることをお勧めします。
積み切りプランは、細かな荷物は自分で運搬し、大型の家具や家電など自分で運ぶことが難しい荷物のみ、引越し業者へ依頼する引越しに向いています。そのため、そもそも荷物量が多い引越しには不向きなサービスです。
どうしても積み切りプランを利用して費用を安くしたい場合、それなりの荷物を処分しなければなりません。不要品を大量に処分する予定であれば、問題なくすべてトラックに積むことができるケースもあります。
とはいえ、ただ単に引っ越し費用を抑える目的で、積み切りプランを利用することは控えましょう。
今回は、積み切りプランについて詳しく解説しました。荷物量が少ない単身引越し、近距離引越し、大物家具や家電のみ依頼する引越しの場合、とてもリーズナブルな料金で引越しをすることができます。
しかし、料金の安さだけで利用を決めることは、避けた方が無難なサービスです。
2tロングのトラックであれば、それなりの荷物量を積むことができるため、積み残しが発生するリスクはある程度回避できますが、それでも当日にならなければ分からないものです。
活用の仕方によっては大変魅力的なサービスではありますが、信頼できる営業担当者と十分に相談をした上で、利用するメリットがあると判断できたときのみ利用するようにしましょう。